特集 生活の視点で読み解く! 今日の緩和ケア ~患者になにが起こっているのか~
Ⅶ 眠る・休む
患者さんの休息が障害されるときにはなにが起こっているのか ~その原因と症状マネジメント~
小川 朝生
1
1国立がん研究センター東病院精神腫瘍科
pp.497-502
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_497
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
病態 ~なにが起こっているのか~
睡眠とは,「身体の内部的な必要から発生する意識水準の一時的な低下現象であり,かつ刺激によって覚醒が可能な状態」である.このことから,患者の休息が障害されるとは,①意識水準の一時的な低下が起きない(眠れない),②刺激によって覚醒できない(意識障害)の場合が想定できる.臨床の言葉で言い換えれば,不眠かせん妄(意識障害)ということになる.
不眠は痛みや発熱とならび,あらゆる臨床場面において高頻度に出現する症状の1つである.一口に「眠らない,眠れない」と言っても,もともと睡眠時間の短い患者が単に消灯時間を過ぎても眠気が来ない場合も不眠であれば,不安・焦燥感のために眠気が来ない場合,痛くて眠れない場合,一見不眠とみえるが実際はせん妄があり,睡眠覚醒リズムが乱れている場合までさまざまある.ここでは,「不眠」とまとめられる病像について,すみやかな対応が必要か,待つことができる(経過観察できる)のか,その判断と具体的な対応について整理をしたい.
© Nankodo Co., Ltd., 2020