特集 生活の視点で読み解く! 今日の緩和ケア ~患者になにが起こっているのか~
Ⅵ 見る・聞く(感じる)
Column
視覚の変化と孤独
石木 寛人
1
1国立がん研究センター中央病院 緩和医療科
pp.496-496
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_496
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pumpkin headという現象があります.上大静脈や両側の内頸静脈の血流が腫瘍などによって途絶えると,頭部へ流れた動脈血が静脈から心臓へ還流する流れが滞り,顔面,頭部の浮腫をきたします.顔面の浮腫の自覚症状としてまず出現しやすいのが眼瞼の浮腫です.とくに頭頸部がんの患者さんで,過去に頸部郭清術で片側の内頸静脈を切断し,反対側の頸部リンパ節に再発をきたしたときに起こることがあります.顔面の浮腫は眼瞼のほかに結膜,舌や口腔周囲にも発生するため,食べられない,話せない,目が見えない,といった症状が短期間に出現することになります.こうなってしまうと患者さんとのコミュニケーションがきわめて困難になり,その結果,患者さんは非常に孤独になっていきます.
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