特集 生活の視点で読み解く! 今日の緩和ケア ~患者になにが起こっているのか~
Ⅴ 動く・体勢を整える
患者さんの活動に支障があるときにはなにが起こっているのか ~その原因と症状マネジメント~
岩瀬 哲
1
1埼玉医科大学病院救急科・緩和医療科
pp.469-475
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_469
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病態 ~なにが起こっているのか~
患者の活動に支障があるとき,その原因を運動器と運動器以外の障害に大別して考えることができる.ロコモ(ロコモティブシンドローム)は運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態をいうが,がん患者においては,「がん自体」あるいは「がん治療」によって移動機能が低下し,介護が必要になるリスクが高まっていく(がんロコモ).また,がん患者はがん自体,がん治療以外の要因でもロコモになる可能性がある.一方,運動器以外では,がん自体,がん治療,あるいは2次的に起こる症状(がん症状)によって,患者は活動に支障をきたす.
がん患者のADL(日常生活動作)についてはビックデータが報告されており,最期の1年(end of life:EOL)の変化は図1のようになることが知られている1).
ADLが低下しはじめた患者のADL低下の原因を評価し,その対策を考えることはきわめて重要なことである.医療チームの義務は患者のADLモニタリングであるといっても過言ではない.そのためには“がんロコモ”や“がん症状”の原因と対策を知っておく必要があり,今後はADL管理についてのエビデンスの集積が求められている.
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