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はじめに
患者が外来でがんと診断され,つらい気持ちと向き合いながら,限られた時間で気がかりを質問するのは容易ではない1).医療の高度化が進む今,治療法に伴い生活を調整する必要性が増し,看護師による支援は重大な役割である.同時に,がんになっても自分の人生行路を見失うことがないように,看護師には患者の人生と病との折り合いを一緒に考えていく態度が求められる.QOLの維持・向上をアウトカムとする緩和ケアのアプローチを診断早期から導入して,効果的に進める外来がん看護面談に対する患者からの期待は高い.実際,2014年に診療報酬改定で名称変更した「がん患者指導管理料」の算定件数は上昇している2).今後,がん看護専門看護師(以下,CNS)や認定看護師の資格を取得した看護師が面談をおおいに担っていくだろう.
2013年のがん看護CNSを対象にした調査3)は,各施設や実施者ごとの面談内容や体制のバラツキを指摘し,質評価の必要性を示唆したが,先行研究の多くは面談の支援内容や課題に関する報告で,面談方法について探求した研究は少ない.そこで,筆者らは,「がん対策推進基本計画」の理念を基に,がんと診断されたすべての患者に必要な情報を届けることを目標としQOLを重視する緩和ケアの概念を反映して作成された『がんになったら手にとるガイド』4)を活用し,煩雑で多忙な臨床現場でも利用しやすい「外来がん看護面談のてびき」(図1)を作成した.がん看護面談に関する文献検討より現状と課題を明らかにして重要項目を抽出し,がん看護CNSのグループ討議による吟味を重ねた.
本稿の目的は,診断早期に緩和ケアを導入する外来がん看護面談の効果的な方法について,面談を担当するがん看護CNSを対象に面談の「てびき」を提示して調査し,その実態と関連要因を探ることである.
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