第Ⅲ章 事例でみる苦痛スクリーニング
三重大学医学部附属病院における苦痛スクリーニングの実際
長谷川 真紀
1
,
北村 聡美
2
,
福永 稚子
3
1三重大学医学部附属病院看護部・緩和ケアセンター/緩和ケア認定看護師
2三重大学医学部附属病院看護部
3三重大学医学部附属病院看護部・緩和ケアセンター/がん看護専門看護師
pp.513-517
発行日 2019年6月15日
Published Date 2019/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_513
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事例紹介
事例 Bさん.50代,女性.自営業.
診断名:卵巣がん,Stage Ⅲc(肝臓周囲・腹腔内に多数の播種,腹水貯留)
家族構成:夫,長女(高校生)と3人暮らし.長男は同市内に別居し,家業を手伝っている.
性格:おおらかでがまん強く芯が強い.ボランティアをするなど地域への貢献を大切にしている.家事と子育て,家業を両立させ家族の中心的な存在である.
経過:X年10月,卵巣がんの診断で入院となった.入院時は多量の腹水貯留による腹部膨満感などによってPSは3であった.TC+ベバシズマブ療法1コース施行後に腫瘍による腸閉塞のため手術を受けた.術後は短腸症候群となり中心静脈栄養(IVH)を導入して退院した.
苦痛のスクリーニング結果とBさんの苦痛
当院ではOutreach Palliative care Trial of Integrated regional Model (OPTIM)の『生活のしやすさに関する質問票』【浜松地域改訂版】を改変して用い,苦痛のスクリーニング(以下,スクリーニング)を行っている.入院時,Bさんにスクリーニングを実施したところ,「からだの症状」2/4(それほどひどくないが方法があるなら考えてほしい),「気持ちのつらさ」5/10であった.Bさんの思いを聴くと,次のような苦痛が明らかとなった.
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