第Ⅲ章 事例でみる苦痛スクリーニング
松阪市民病院における苦痛スクリーニングの実際
木村 由紀子
1
1松阪市民病院看護部/がん看護専門看護師
pp.518-521
発行日 2019年6月15日
Published Date 2019/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_518
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
事例紹介
事例 Cさん.70歳代後半,女性.
上行結腸がんで腹腔鏡下結腸右半切除術を受けた.手術の結果Stage Ⅲaであったため術後補助化学療法(S-1単剤療法)を開始したが副作用のため中止していた.術後4ヵ月目に肝転移が出現したため肝部分切除術施行後にmFOLFOX6+ベバシズマブ療法が開始された.
Cさんは夫と2人暮らしで,次男と長女がそれぞれ結婚し近くに住んでいる.長男は他県在住である.自宅は病院から車で1時間半ほどのところにあり,普段の通院は近隣に住む長女や次男が送迎をしている.夫は肝臓がんの治療中で自宅から2時間以上離れたX病院に通院している.
苦痛スクリーニングの結果と患者の苦痛
Cさんが,「生活のしやすさに関する質問票 第3版」(以下,質問票)に記載した内容を表1に示す.外来看護師は,「緩和ケア医師や看護師への相談を希望する」と記載があったため,がん相談を担当している看護師に連絡をした.がん相談担当看護師は外来看護師からCさんの情報を得たのちに,Cさんと個室で面談を行った.面談の結果,Cさんの苦痛として次のようなことが明らかになった.
© Nankodo Co., Ltd., 2019