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国立がん研究センターの2018年の予測では,日本人女性の乳がん罹患者数(新たに乳がんと診断される人)は8万6,500人とされています.また,同年に乳がんでの死亡数は1万4,800人とされ,日本人女性の死因の第5位にあげられています.
そんな脅威を感じる乳がんは,若年発症者も多く,若年ならではの苦難や問題も多いことから支援が必要ですが,そのケアのむずかしさを感じた経験のある看護師も多いのではないでしょうか.そのため乳がん患者へのケアは看護師の役割の重要性が問われます.
そこで今回は乳がんのトピック的なテーマとして,①治療と患者の妊孕性,②アドバンス・ケア・プランニング(ACP),③乳がんと遺伝(遺伝学検査),を取り上げました.
「乳がん患者の治療と妊孕性」では,患者にライフプランの希望を確認し,それをがん治療と照らし合わせ,患者にとって最善の治療プランになるよう,看護師は意思決定を支援します.乳がん患者の命を守りながらも,子どもをもつ希望を守るための知識を解説いただきました.
「乳がん患者のアドバンス・ケア・プランニング」では,療養生活をどこで送るかだけでなく,家族との関係,社会との関係,ボディイメージ変容との関係,そして,自分の希望と命との関係をみつめます.かぎりある命をどう生きていくかを患者自身が描くために,看護師ができる支援方法,かかわりの工夫を解説いただきました.
「乳がんと遺伝」では,最近の研究で遺伝性乳がんは若年で発症する傾向があることもわかってきていることから,遺伝子検査とそこにある課題解決の実際を解説いただきました.
本特集が乳がん看護を日々実践している読者のみなさまのケアに,少しでもお役に立てれば幸いです.
参考:国立がん研究センター:がん情報サービス;2018年のがん統計予測.https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/short_pred.html(2019年4月3日確認)
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