第Ⅱ章 総論:がんとエビデンス
がんと緩和ケア ~緩和ケアは病院から在宅へ拡大する~
奥野 滋子
1,2
,
森谷 記代子
3
1順天堂大学医学部緩和医療学研究室
2医療法人長谷川会湘南ホスピタル
3順天堂大学医学部緩和医療学研究室/がん看護専門看護師
pp.133-136
発行日 2019年2月25日
Published Date 2019/2/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_133
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
厚生労働省の人口動態統計によると,がんによる死亡者数は高齢化で増加を続けており,2016年は37万2,986人で1985年の約2倍になった.粒子線を使った放射線療法やロボット支援下内視鏡手術,免疫チェックポイント阻害薬,遺伝子治療などさまざまながん治療法の開発により治療効果は上がっているものの,それでも現時点では再発や転移を完全に防ぐことはできない.一般的にはがんは依然として「死にいたるおそろしい病」と認識されているのである.がん診断時から治療,看取りにいたるまで,患者や家族が「安心して十分な治療を受けている」と思えるよう,病院内外の多職種チームが協働して統合的かつ全人的ケアを地域ぐるみで推進していく必要がある.
© Nankodo Co., Ltd., 2019