特集 在宅医療・地域包括ケア
がんの在宅緩和ケアの実践
小澤 竹俊
1
1めぐみ在宅クリニック
pp.537-540
発行日 2012年7月15日
Published Date 2012/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102469
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はじめに
人口統計によると,1945~1948年頃に生まれた団塊の世代が後期高齢者を迎える2020~2030年には,年間の死亡者が現在の100万人からおおよそ1.5倍の150万人に増えることが予想されている.好むと好まざるによらず,多死時代を迎えることは明らかである.今までのように病院で最期を迎えることが困難な時代が来ることが予想されることを意識し,厚生労働省は,地域で看取ることができる社会を整備するために,2006年に在宅療養支援診療所を新設し,動き始めた.2012年の医療保険,介護保険の改正では,さらに地域での看取りが行えるように,重点的に見直しがされている1).
めぐみ在宅クリニックは,このような時代背景をもとに,緩和ケアを地域で提供できることを目的に,2006年10月に横浜市瀬谷区で開設された.開設以来,2012年3月までに,在宅(含む介護施設)での看取りは830人を超え,病院で最期を迎えた200人を合わせると,合計1,000人以上と関わりを持つ活動を続けている.クリニック内には訪問看護ステーションを併設せず,すべてそれぞれの地域で活動する訪問看護ステーションと連携し,地域包括支援センター,居宅介護事業所などと連携しながら,地域緩和ケアチームを構成し,活動を続けてきた.特に,ホスピス病棟での経験を活かして,単に症状緩和や看取りを提供するだけではなく,全人的なケアを在宅で提供するための援助モデルを取り入れ,緩和ケアの研修会を定期的に開催している.これらの経験をもとに,がんの在宅緩和ケアの実践についての現状と課題を概説する.
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