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特集 炎症性腸疾患およびその関連消化管腫瘍の診療―ガイドライン2024年版を中心に
I. 総論
3.炎症性腸疾患関連消化管腫瘍の予後
The prognosis of inflammatory bowel disease associated intestinal cancer
杉田 昭
1
,
辰巳 健志
1
,
黒木 博介
1
,
後藤 晃紀
1
,
小原 尚
1
,
中尾 詠一
1
,
齋藤 紗由美
1
,
荒井 勝彦
1
,
小金井 一隆
1
A. Sugita
1
,
K. Tatsumi
1
,
H. Kuroki
1
,
K. Goto
1
,
N. Obara
1
,
E. Nakao
1
,
S. Saito
1
,
K. Arai
1
,
K. Koganei
1
1横浜市立市民病院炎症性腸疾患(IBD)科
キーワード:
潰瘍性大腸炎
,
Crohn病
,
消化管悪性腫瘍
,
予後
Keyword:
潰瘍性大腸炎
,
Crohn病
,
消化管悪性腫瘍
,
予後
pp.737-746
発行日 2025年6月1日
Published Date 2025/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka87_737
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潰瘍性大腸炎では,腫瘍は多発性で,治療方針はdysplasiaを含めて病変をすべて切除する大腸全摘術(回腸囊肛門吻合術,大腸全摘,回腸人工肛門造設術・症例によって回腸囊肛門管吻合術)が原則であり,予後は通常大腸癌とかわらず,適正な癌サーベイランス内視鏡検査で腫瘍性病変を早期に発見することが必要である.Crohn病では,予後規定因子は癌進行度で,現状では進行癌が多く,予後は不良である.本邦では直腸肛門管癌(痔瘻癌を含む)が多く,有症状例で癌合併を考慮して精査するとともに厚生労働省研究班で提唱している癌サーベイランスプログラムによる早期癌の診断が有用である.治療は完全な腫瘍切除がもっとも重要で,症例によって集学的治療を考慮する.本症の合併した小腸癌,消化管瘻孔癌はまれで,早期診断が困難であるが,本症を念頭において精査することが重要である.

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