8．仙骨合併切除を伴う拡大骨盤外科手術の実際

Practical aspects of extended pelvic surgery with sacral resection

進行性または再発直腸癌に対する根治的治療の目標はR0切除であり，仙骨浸潤例では仙骨合併切除が標準治療とされる．しかし本術式は高度な技術を要し，標準化が十分ではない．本稿では，仙骨合併切除の適応，術前評価，手術手順，再建法，および術中トラブルへの対応を概説した．特に有茎前外側大腿筋皮弁による再建はempty pelvis syndromeの予防に有効であり，出血時にはゼラチン基材＋トロンビン製剤を用いた止血術も有用である．多診療科によるチーム医療のもと標準化をすすめることで，陰性切除縁の確保と良好な治療成績が期待される．