Japanese
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特集 内視鏡手術からみえる新しい解剖学
III. 肝胆膵
15.低侵襲膵手術で認識すべき上腸間膜動脈周囲の局所解剖
Local anatomy around the superior mesenteric artery to be recognized in minimally invasive pancreatic surgery
大村 仁昭
1
,
武田 裕
1
,
桂 宜輝
1
,
新毛 豪
1
,
畑 泰司
1
,
村田 幸平
1
Y. Ohmura
1
,
Y. Takeda
1
,
Y. Katsura
1
,
G. Shinke
1
,
T. Hata
1
,
K. Murata
1
1関西労災病院外科
キーワード:
上腸間膜動脈
,
局所解剖
,
低侵襲膵手術
Keyword:
上腸間膜動脈
,
局所解剖
,
低侵襲膵手術
pp.594-598
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka84_594
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腹腔鏡下手術は低侵襲性と整容性に優れ,近年の発展がめざましい.膵頭十二指腸切除においても2016年に保険収載され,2020年に適用拡大され,内視鏡手術支援機器の使用(ロボット支援下手術)も保険収載された.しかし,鉗子の動作制限や視野制限,ロボット支援下手術での触覚情報の欠如のため,上腹部の主要脈管構造の事前把握や,確実なアプローチはきわめて重要となる.特に上腸間膜動脈(SMA)・上腸間膜静脈(SMV)の分枝は複雑な立体走行で変異も多い.特に変異が多いのは下膵十二指腸動脈(IPDA)と下膵十二指腸静脈(IPDV)であり,IPDAは第1空腸動脈(J1A)から分岐し,その後前膵十二指腸動脈(AIPDA)と後下膵十二指腸動脈(PIPDA)に分かれる分岐形態がもっとも多く,IPDVはSMVの背側を走行して,第1空腸静脈(J1V)に流入する形態がもっとも多い.また後膵動脈の一部はSMAから直接分岐して,下膵動脈となる.SMA・SMV周囲のこのように複雑な血管構造を単純化し,効率よい視野展開を行い,確実な脈管処理と郭清を可能にする方法についても紹介した.
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