膵頭十二指腸切除術(PD)をめぐる諸問題
上腸間膜動脈(SMA)合切再建の適応と短期・長期成績
北川 裕久
1
,
太田 哲生
,
谷 卓
,
高村 博之
,
萱原 正都
,
三輪 晃一
1金沢大学 消化器・乳腺外科
キーワード:
血管外科
,
術後合併症
,
消化不良
,
膵臓腫瘍
,
膵頭十二指腸切除
,
上腸間膜動脈
,
治療成績
Keyword:
Dyspepsia
,
Pancreatic Neoplasms
,
Postoperative Complications
,
Vascular Surgical Procedures
,
Treatment Outcome
,
Pancreaticoduodenectomy
,
Mesenteric Artery, Superior
pp.881-885
発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007337344
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2002年から、上腸間膜動脈(SMA)周囲のリンパ系・神経系を、膵頭と一括切除する"augmented regional pancreatoduodenectomy(ARPD)"を16例に行ってきた。この手術は、膵頭下部前面からのリンパ経路である十二指腸水平脚下縁レベルまでの小腸間膜根部を切除する点と、膵頭をin situで遊離し、循環遮断下で摘出するno-touch isolationである点に特徴がある。術後30ヵ月以上生存例は4例、うち1例は5年以上生存している。これまではかなりの進行例に行ってきたが、今後は、術前画像診断や術中病理検査などで、"癌浸潤が明らかにSMA外膜近傍にまで及んでいる症例"や、"リンパ節転移が大動脈周囲など3群にまで及んでいる症例"を適応から外すことで、さらに治療成績の向上が期待できる。術前にMDCTを中心とした画像を放射線科医と十分に検討し、癌の膵外進展を正確に把握したうえで、慎重に適応症例を決定していくことが大切である。
©Nankodo Co., Ltd., 2007