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特集 外科栄養―最新のアプローチ
I. 総論
5.腸内ケアならびに栄養と癌免疫応答―免疫チェックポイント阻害薬の効果を最大限に引き出すための秘策
Intestinal care, nutrition and cancer immune responses;tips for maximizing the effects of immune checkpoint inhibitors
田島 秀浩
1
,
太田 哲生
1
,
岡本 浩一
1
,
宮下 知治
1
,
二宮 致
1
,
伏田 幸夫
1
H. Tajima
1
,
T. Ohta
1
,
K. Okamoto
1
,
T. Miyashita
1
,
I. Ninomiya
1
,
S. Fushida
1
1金沢大学消化器・腫瘍・再生外科学
キーワード:
癌免疫
,
腸内ケア
,
栄養
,
化学療法
Keyword:
癌免疫
,
腸内ケア
,
栄養
,
化学療法
pp.329-333
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka82_329
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第4の癌治療として注目される免疫療法は免疫チェックポイント阻害薬の登場により飛躍的な進歩を遂げ,今後も発展が期待されている.癌化学療法による下痢や経口摂取不良は腸内細菌叢の異常(dysbiosis)や粘膜の萎縮をきたし,bacterial translocation (BT)やサルコペニアの原因となる.腸内細菌叢と癌免疫療法の効果に関連があることや,BTにより惹起されるimmunothrombosisが骨髄由来免疫抑制細胞を分化・誘導することが報告されるようになりdysbiosisや続発するBTは抗癌治療の継続を困難にするだけでなく,癌免疫療法の効果を減弱させる可能性があると推察される.これらのことから腸内環境保全を目的とした腸内ケアは化学療法の長期継続を可能にするのみならず,癌免疫療法の奏効率を向上する可能性が示唆される.
© Nankodo Co., Ltd., 2020