Japanese
English
特集 消化管術後合併症―発症要因と対応
6.術後慢性偽性腸閉塞症の発症要因,予防対策と対応
Post-operative chronic intestinal pseudo-obstruction;literature review on its etiology and treatment
正木 忠彦
1
,
吉敷 智和
1
,
小嶋 幸一郎
1
,
麻生 喜祥
1
,
須並 英二
1
T. Masaki
1
,
T. Kishiki
1
,
K. Kojima
1
,
N. Asou
1
,
E. Sunami
1
1杏林大学消化器・一般外科
キーワード:
偽性腸閉塞症
,
自律神経系
,
消化管運動
Keyword:
偽性腸閉塞症
,
自律神経系
,
消化管運動
pp.731-736
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka81_731
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
術後慢性偽性腸閉塞症は報告例が7例ときわめて少なく,背景因子がさまざまであることから,発症要因について確定的なものはない.しかしながら,報告例がすべて女性であり,1例を除いて発症が閉経前年齢であると考えられることから,女性ホルモンの関与が示唆されており,女性ホルモン分泌を抑制する薬剤の投与により腸閉塞症状が劇的に改善した海外報告例もある.一方,腸管にまったく操作が及ばない手術で発症する症例もみられることから,自律神経のバランスの破綻に発症要因を求める考えも提唱されている.不必要な腸管操作が術後の腸管運動回復を遅延させることを示した基礎的研究もみられることから,腹腔鏡手術などの低侵襲手術を心がけるべきであろう.高いエビデンスレベルの予防対策については今後の検討課題である.
© Nankodo Co., Ltd., 2019