Japanese
English
特集 スキルス胃癌のすべて
II. 臨床〈診断〉
3.スキルス胃癌に対する審査腹腔鏡の意義
Staging laparoscopy for type 4 or large type 3 gastric cancer
羽藤 慎二
1
,
香川 哲也
1
,
落合 亮二
1
,
御厨 美洋
1
,
小林 成行
1
,
小畠 誉也
1
,
太田 耕司
1
,
野崎 功雄
1
S. Hato
1
,
T. Kagawa
1
,
R. Ochiai
1
,
Y. Mikuriya
1
,
N. Kobayashi
1
,
T. Kobatake
1
,
K. Ohta
1
,
I. Nozaki
1
1国立病院機構四国がんセンター消化器外科
キーワード:
審査腹腔鏡
,
スキルス胃癌
,
腹膜播種
Keyword:
審査腹腔鏡
,
スキルス胃癌
,
腹膜播種
pp.29-33
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka81_29
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胃癌においては,腹膜播種の有無により治療方針や予後が大きく異なる.特に大型3型/4型胃癌は,腹膜播種をきたしやすく,より正確な腹膜播種診断が求められるが,現在においても画像診断による腹膜播種診断の精度は高くない.審査腹腔鏡は,低侵襲下に,より正確な腹膜播種診断が可能である.切除可能な大型3型/4型胃癌を対象とした日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)0501試験では,術前化学療法の優越性は証明されなかったが,3年全生存率,無増悪生存率ともに過去の報告よりも良好な成績であった.本試験では審査腹腔鏡にて腹膜播種の除外診断が登録前に行われており,治療前の正確な腹膜播種診断が重要と考えられることから,大型3型/4型胃癌は審査腹腔鏡のよい適応である.また,日常診療のみならず,大型3型/4型胃癌の成績向上をめざした治療開発においても,腹膜播種診断における審査腹腔鏡は引き続き重要であると考えられる.一方,審査腹腔鏡の課題として偽陰性の問題があげられ,審査腹腔鏡の腹膜播種診断能をさらに向上させる今後の技術進歩と知見蓄積に期待したい.
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