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特集 外科医が知っておくべき最新のゲノム医療
I. 総論
2.がんプレシジョン医療をめざしたリキッドバイオプシー技術の臨床応用
Liquid biopsy for cancer precision medicine
前佛 均
1
H. Zembutsu
1
1がん研究会・がんプレシジョン医療研究センター・リキッドバイオプシー診断開発プロジェクト
キーワード:
リキッドバイオプシー
,
癌
,
個別化治療
,
プレシジョン医療
Keyword:
リキッドバイオプシー
,
癌
,
個別化治療
,
プレシジョン医療
pp.1200-1204
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka80_1200
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がんの診断のために行われる生検は,これまで主に組織生検が行われてきたが,低侵襲かつがん組織全体の性質を診断しうる新たな診断法として,末梢血中に流れるがん細胞由来のエクソソームや循環腫瘍DNA(circulating tumor DNA:ctDNA)を検出する「リキッドバイオプシー」の臨床応用が急速に期待され始めた.がん細胞のアポトーシスなどにより血中に放出されるがん由来のゲノムであるctDNAの存在は,70年ほど前から知られていたが,近年digital PCRや次世代シーケンサー(NGS)の精度が向上し,血漿中のごく微量なctDNAを検出することができるようになり,その臨床応用への期待が一挙に高まってきた.当研究室において消化器癌を対象に行われているNGSを用いたリキッドバイオプシーのfeasibility studyでは,ctDNAの臨床的意義を示唆する結果が得られている.しかし米国臨床腫瘍学会と米国病理学会の共通の見解として,ctDNAの定量性についてはいまだ課題があることが報告されている.一方EGFRチロシンキナーゼ阻害薬の適応を決めるためのコンパニオン診断薬として,リキッドバイオプシーによるEGFR T790Mの定性診断が実用化(保険収載)されるなど,リキッドバイオプシーの臨床導入は今後も拡大していくものと予想される.
© Nankodo Co., Ltd., 2018