特集 大腸癌バイオマーカー入門
Ⅱ.各論
大腸癌の癌幹細胞マーカー
神藤 英二
1
,
梶原 由規
1
,
長谷 和生
1
,
上野 秀樹
1
1防衛医科大学校外科
キーワード:
癌幹細胞マーカー
,
CD133
,
CD44
,
Lgr4
,
Dclk1
Keyword:
CD133
,
CD44
,
Lgr4
,
Dclk1
pp.1350-1354
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka79_1350
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大腸癌の癌幹細胞マーカーとしてCD133,CD44,Lgr5,Dclk1などが報告されている.近年これらの機能的解析がすすめられ,CD133やCD44の幹細胞性維持における役割が明らかにされてきた.また,癌幹細胞は化学療法や放射線治療に抵抗性を示すことから,癌幹細胞マーカーは治療の標的分子としても関心が寄せられている.特にDclk1は,正常細胞では主に分化した細胞に発現することから標的治療における正常組織への影響は限定的と考えられ,臨床応用が期待されている.さらに癌幹細胞マーカーの発現量を指標とした予後予測や治療耐性の予測の試みもなされている.癌幹細胞マーカーを基軸とした今後の研究により,癌の根治をめざした治療法開発あるいは効果予測に基づいた個別化治療の発展が期待される.
© Nankodo Co., Ltd., 2017