特集 外科手術器具の理論と使用法
Ⅶ.メッシュ
腹壁瘢痕ヘルニア(腹腔鏡アプローチ)に用いるメッシュの種類と使用法
三澤 健之
1
1東京慈恵会医科大学附属柏病院外科
キーワード:
腹壁瘢痕ヘルニア
,
腹腔鏡下手術
,
メッシュ
Keyword:
腹壁瘢痕ヘルニア
,
腹腔鏡下手術
,
メッシュ
pp.1282-1289
発行日 2017年11月25日
Published Date 2017/11/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka79_1282
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米国人外科医,LeBlancら1)が1993年にexpanded polytetrafluoroethylene (ePTFE) meshを用いた腹腔鏡下腹壁ヘルニア修復術laparoscopic ventral hernia repair (LVHR)を報告して以来,本法は世界中で広く応用されている.LVHRではメッシュが腹腔内に留置される(intraperitoneal onlay mesh:IPOM)ため,臓器損傷のリスクや癒着の少ない素材が求められ,これまでにさまざまな製品が開発されている.
LVHRは前方アプローチに比較して術後入院期間が短いといったメリットがある一方で,手術時間,術後疼痛,合併症発生率,再発率に大きな差はない.しかし,腹腔内臓器損傷(多くは消化管損傷)に伴う致命的な合併症の報告があり,施行にあたっては鏡視下手術手技に習熟していなくてはならない.一方,再発原因の多くはメッシュサイズの選択ミス(オーバーラップが小さすぎる),不適切な固定によるメッシュの移動,あるいは収縮にあるといわれている2).このため,適切なメッシュの選択と確実な固定が重要である.そのためには本稿で述べる,メッシュおよび固定用デバイスの種類・特性についての十分な理解が必要と考える.
© Nankodo Co., Ltd., 2017