特集 外科手術器具の理論と使用法
Ⅰ.糸
肝胆膵領域で用いる縫合糸選択と使用法*
村上 昌裕
1
,
清水 潤三
1
1大阪労災病院外科
キーワード:
肝胆膵外科
,
縫合糸
,
SSI
Keyword:
肝胆膵外科
,
縫合糸
,
SSI
pp.1111-1113
発行日 2017年11月25日
Published Date 2017/11/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka79_1111
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手術部位感染(surgical site infection:SSI)は術後合併症の一つで,いったん発症すると患者の満足度が低下するだけでなく,入院期間の延長や医療コストの増加が問題となることから,その予防が重要である.最近,SSIの対策としてトリクロサンをコーティングした抗菌縫合糸が開発され,メタ解析などでもその有用性が報告されている1, 2).抗菌縫合糸そのものは高価であるものの,SSI発生によるコスト増加に鑑みると,予防することで医療経済効果は上回ると考えられる.世界保健機関(WHO)でも「手術のタイプに関係なく,SSIのリスクを減少するためにトリクロサン縫合糸を使うことを提案する」とされている.本稿では肝胆膵外科領域で使用している縫合糸(表1)と用途を供覧する.
© Nankodo Co., Ltd., 2017