特集 外科手術器具の理論と使用法
Ⅰ.糸
血管吻合に用いる縫合糸選択と使用法*
石田 厚
1
1呉羽総合病院血管外科
キーワード:
血管縫合
,
Alexis Carrel
,
血管造影
Keyword:
Alexis Carrel
pp.1114-1117
発行日 2017年11月25日
Published Date 2017/11/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka79_1114
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血管縫合は19世紀末から20世紀初頭にかけて,多くの外科医により試みられた.血管吻合を医療にとり入れ,39歳時にノーベル生理・医学賞を受賞したAlexis Carrel(1873~1944年)[図1]の功績もあり,その手技は確立されたが,熟練した技術を要し,開存率もかんばしいものでなかったため,実際にはあまり普及しなかったといわれている1).しかし,1940年代以降,血管造影法(dos Santos, 1929年)など診断学の進歩,同種血管の保存手技や人工血管の進歩,輸血学の進歩,heparinの臨床応用(Muray, 1940年)など,血管外科をとりまく医学の総合的な発展により,現代の血管外科は急速に発達した.近年では血管の再建,修復を要する大手術を可能にするためには,血管縫合は必要不可欠の外科手技であり,血管縫合糸の発達とともに進歩・普及してきた2).
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