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は じ め に
頚椎後縦靱帯骨化症(OPLL)をはじめとする頚椎疾患の術後C5麻痺は一定の頻度で発生し,現時点では避けられない合併症である.脊柱靱帯骨化症調査研究班で施行した多施設前向き研究において,頚椎OPLL手術478例が2年間前向きに調査された1).C5麻痺の発生率は7.4%であった.発生したC5麻痺のうち61.3%は1年以内に完全回復した.一方,三角筋の筋力が徒手筋力テスト(MMT)2以下の例が術後1年時に15%,2年時に11%存在した.C5麻痺の回復が不十分であると,少なからず日常生活動作に障害をきたす.しかしながら,これまでのところ残存するC5麻痺に対する有効な治療法は確立されていない.
ロボットスーツHybrid Assistive Limb(HAL)は,当学で開発された外骨格型の動作訓練支援ロボットである.HAL訓練の効果は単なるパワーアシストによるものではなく,interactive bio-feedback(iBF)理論に基づいた脳神経系由来の生体電位信号に端を発する運動学習の反復,すなわちerrorless motor learningによってもたらされる2,3).
当学ではHAL専用の治療スペースとして,附属病院内に未来医工融合研究センターを設置し,ここで各種HALを用いた臨床研究を行っている2,3).われわれは,単関節HALを応用して肩関節外転訓練を行う新たなシステム(肩HAL)を開発した.現在までに,頚椎術後のC5麻痺に対して肩HALを用いた上肢挙上訓練を行っており,良好な結果を得ている.C5麻痺発生後の急性期に肩HALを開始することが多いが,慢性期に肩HAL訓練を行った例も経験している4,5).本稿では,われわれがすすめている術後C5麻痺に対する肩HALを用いた機能再生治療について,最近の進歩を中心に論述したい.

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