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は じ め に
現在,人工股関節全置換術(THA)で用いられているステムはセメントレスステムやセメントステムを含め,さまざまなコンセプトのステムが存在している.日常診療ではステムを選択する際には術者の好みはあるものの,すべての症例で同一の機種で対応することは限りなくむずかしく,大腿骨形状を加味して選択していることが多いと思われる.特に大腿骨頚部前捻が強い症例や後捻症例では意図した前捻にするためにもさまざまなステムがある.当院ではこれらの症例について,以前よりセメントレスステムを使用してきた経緯より,セメントレスのmodular typeのステムを選択している.
Modulus stem(Lima社)はsandblast加工を施したfin付きの円錐形状のステムであり,modular typeであるため前捻角を自在に操作できる.また,大腿骨髄腔リーミングの調整で脚長補正も容易に行える.ステム遠位での良好な固定が期待できる点より幅広い大腿骨形態に対応できる特徴がある.本邦では2005年より使用ができるようになり,当院では2006年より使用開始した.使用適応としては,① 過前捻症例,② 後捻症例,③ 転子下骨切り症例,④ 高度変形例で軟部組織が硬く脚長が伸びないと思われる症例,⑤ 転子部骨折偽関節症例,⑥ 遠位固定を意図したい症例,⑦ 65歳以上の高齢者を中心に使用してきた.
Modulus stemの中期成績はよい1,2)が遠位固定であるためstress shieldingが幅広い範囲で出現すると報告されている3).そこで,当院でModulus stemを使用し15年以上経過したTHAの生存率,X線変化,特にstress shieldingの程度やほかのX線変化の特徴,合併症などを調査した.

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