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脳動脈瘤に対するクリッピング手術はすでに確立した感があるが,その長期成績は意外に知られていない。血管内手術が急速に発達してきた現在,直達手術の長期成績を明らかにすることは重要である。1976年以降,当院で開頭手術が行われた全例を追跡調査し,術後3年以上生存した連続420例(破裂316例,未破裂104例)を解析した。平均追跡期間は約10年,追跡率は99%であった。追跡期間中に14例(3.3%)のくも膜下出血が確認された。ほぼ完全な動脈瘤の検索と治療がなされていた279例(破裂220例,未破裂59例)では7例(2.5%)に,検索と治療が不十分であった141例では7例(5.0%)にくも膜下出血が認められた。出血の原因は,動脈瘤の新生が4例,治療した部位の再増大が6例(不完全クリップ1例とラッピング1例を含む),未治療動脈瘤の破裂が2例,血管撮影に至らず原因不明が2例であった。クリッピングされた498個の動脈瘤(破裂316個,未破裂182個)に関していえば,クリッピング術後の年間破裂危険率はおよそ0.1%/年であった。
今回の研究から,クリッピング手術自体の信頼性は長期間においても高いことが判明した。しかし,治療後にもかかわらず年率0.3%というくも膜下出血の再発は,一般的な疫学上の頻度(0.01~0.06%/年)から考えると非常に高く,一定期間後の再検査が必要である。再検査までの間隔は術後の血管撮影に基づき考慮することが必要であろう。
Background: Although the reliability of microsurgical clipping for cerebral aneurysms seems to be established, it is still unclarified how much risk the patients with a successfully treated aneurysm carry in a long term period.
Method: We analyzed consecutive 420 patients who survived longer than 3 years after the surgical treatment of aneurysms (316 ruptured and 104 unruptured) in Aizu Chuou Hospital from 1976 to 1994. All patients were traced until January 1998 to identify recurrent subarachnoid hemorrhage (SAH), retreatment of aneurysms or death.
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