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【要 旨】
目 的:人工肘関節全置換術は,関節リウマチ(RA)例の疼痛かつ不安定性の高度な肘関節破壊例に対して行われる治療手技である.筆者らが独自に開発した非拘束型人工肘関節全置換術(モジュラー型新潟-瀬波-京セラ:MNSK)の臨床成績を評価した.
対象および方法:RA 75肘[平均年齢64(41~79)歳]にNSK人工肘関節全置換術を行った.術前後の日本整形外科学会肘機能評価法(JOA肘スコア),肘関節可動域を評価した.
X線学的評価として,上腕骨コンポーネントのbone ingrowthおよび応力遮蔽の頻度,尺骨コンポーネント周囲の弛みの頻度を評価した.合併症およびインプラントの抜去をエンドポイントとした際の生存率を評価した.
結 果:平均経過観察期間は5.2±3(2~11.3)年であった.JOA肘スコアは術前42点から術後87点に有意に改善した(p<0.001).上腕骨コンポーネントのbone ingrowthは全例で得られていた.上腕骨コンポーネントの応力遮蔽は11肘(14%)でみられ,上腕骨コンポーネントステムが10mmおよび9mmであった場合は,8mmであった場合に比較して有意に高頻度で認められた(p=0.0008).尺骨コンポーネントは,感染のため抜去を要した1例を除き弛みを生じた症例はなかった.合併症は9例9肘(12%)でみられ,インプラント周囲感染3肘,インプラント周囲骨折4肘,脱臼2肘であった.5年生存率が97%,10年生存率が93%であった.
結 論:MNSKはRA肘関節破壊例に対して良好な中期成績を示した.上腕骨コンポーネント周囲の応力遮蔽は上腕骨ステム8mm径を用いることで回避できることが明らかになった.
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