Japanese
English
小児整形外科up-to-date Ⅲ.上肢疾患
2.上肢の先天異常
母指多指症の診断と治療
Diagnosis and treatment of thumb polydactyly
稲葉 尚人
1
,
高木 岳彦
1
N. Inaba
1
,
T. Takagi
1
1国立成育医療研究センター整形外科
1Division of Orthop. Surg., Dept. of Surgical Specialties, National Center for Child Health and Development, Tokyo
キーワード:
polydactyly
,
Wassel classification
,
reconstruction
Keyword:
polydactyly
,
Wassel classification
,
reconstruction
pp.87-94
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei85_87
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は じ め に
上肢の先天異常は形態が多彩である一方で,発生頻度はまれである.同一疾患でも異なる形態であったり,異なる疾患でも非常に類似した形態であったりと,診断に難渋することがある.発生学的には,受精後6週ごろには手板といわれる上肢の原基内において,各指に相当する部位に間葉細胞が凝集して5本の指放線といわれる細胞集団が形成される.指放線が過剰に形成されることで多指症となる.多指症は部位によって母指多指症(橈側多指症),中央列多指症,小指多指症(尺側多指症),鏡手に分類される.本邦では多指症の約90%が母指多指症であるが1),この割合は人種によって異なり,米国(特にアフリカ系米国人)では小指多指症が最多となっている2).本稿では母指多指症について詳説する.
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