分娩麻痺の病態把握と治療戦略

Obstetric brachial plexus palsy：pathology and treatment strategy

は じ め に

　分娩麻痺は分娩時の頚部ないし上肢の牽引により発生する腕神経叢麻痺である．海外の文献ではobstetric brachial plexus palsy（OBPP），brachial plexus birth palsy（BPBP），birth brachial plexus palsy（BBPP）とさまざまな表現がなされている疾患である．新生児において分娩時より上肢を支配する神経が麻痺し，さまざまな程度に筋力低下と感覚低下を引き起こし，完全に自然回復するものから重大な機能障害を引き起こすものまである．治療には麻痺に応じて，神経修復術による一次再建術，ならびに遺残麻痺に対する筋腱移行術などによる二次再建術がある．