Japanese
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バイオ時代におけるリウマチ性疾患の診療 Ⅰ.関節リウマチの病態
1.疫学
関節リウマチ患者のmodified Health Assessment Questionnaire(mHAQ)の上昇は翌年の骨折発生と関連する
Elevated modified Health Assessment Questionnaire (mHAQ) in patients with rheumatoid arthritis is associated with fracture occurrence in the following year
新井 由実
1
,
伊澤 直広
1
,
門野 夕峰
1
Y. Arai
1
,
N. Izawa
1
,
Y. Kadono
1
1埼玉医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Fuculty of Medicine, Saitama Medical University, Saitama
キーワード:
RA
,
fracture
,
modified Health Assessment Questionnaire(mHAQ)
,
disease activity score 28
Keyword:
RA
,
fracture
,
modified Health Assessment Questionnaire(mHAQ)
,
disease activity score 28
pp.6-9
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei84_6
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は じ め に
世界では高齢化が急速にすすんでおり,運動器疾患が増加している.その結果,さまざまな健康障害が生じている.運動器疾患の一つに転倒・骨折があげられ,骨折が生じると日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)の低下を及ぼし,生命予後を悪化させる可能性があり1),大きな問題となっている.
世界保健機関(WHO)が開発し2008年2月に発表した骨折リスク評価法で,今後10年間の骨粗鬆症性骨折の発生リスクを計算するツールであるFracture Risk Assessment Tool(FRAX)では,12項目に関節リウマチ(RA)が含まれており2),RAの疾患自体が骨折のリスクであるとされている.
RA患者の骨折発症の危険因子として,年齢,性別,罹患年数,疾患活動性,身体機能障害,ステロイドの内服,人工膝関節置換術歴,骨折歴3)が報告されている.これらの因子は,変更できないものや長期的に継続するものであり,改善できない,あるいは改善が困難なため,「短期的な骨折リスクを示せれば,より有効な骨折の予防を行うことができ,具体的な骨折予防対策を行いやすい」と考えられる.
本研究は,2002年に構築された国立病院免疫異常ネットワークが中心となり,国内多施設が参加する大規模RA患者データベースであるNational Datebase of Rheumatic Diseases by iR-net in Japan(NinJa)を用いて,RA患者の骨折発生のごく近い将来の予測因子を探索した.
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