プロテクターによる人工股関節全置換術における創保護の重要性 -――anterolateral supineアプローチを中心とした術中の工夫

Importance of wound protection in total hip arthroplasty with protector：intraoperative innovations centered on the anterolateral supine approach

は じ め に

　人工股関節全置換術（THA）はこれまで低侵襲化による小皮切りや筋腱温存手技がすすんできた．一方で，無理な展開や手術操作による皮膚トラブルや筋損傷を回避するという対極的な問題が存在する．中殿筋損傷や皮膚損傷が懸念されるが，特に筋間進入の前側方アプローチの際には，術野を確保するためのレトラクターや，寛骨臼側のリーミングあるいは大腿骨側のブローチング操作による損傷に対して，プロテクター（Alexisオーソペディックプロテクター：Applied Medical Resources社）は創保護の効果が期待できる（図1）．本稿では，プロテクターの使用が術後成績に影響を与えるか検討した．