Japanese
English
人工関節における進歩 Ⅷ.合併症対策
6.金属アレルギー
チタン製インプラントを使用した人工膝関節全置換術の長期成績
Long-term clinical results after titanium implant in total knee arthroplasty
高松 諒
1
,
中村 卓司
1
,
青木 秀之
1
,
高橋 寛
1
R. Takamatsu
1
,
T. Nakamura
1
,
H. Aoki
1
,
H. Takahashi
1
1東邦大学整形外科(大森)
1Dept. of Orthop. Surg., Toho University, Tokyo
キーワード:
TKA
,
clinical result
,
titanium alloy
Keyword:
TKA
,
clinical result
,
titanium alloy
pp.226-230
発行日 2023年4月25日
Published Date 2023/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei83_226
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は じ め に
人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)の合併症の一つに金属アレルギーがある.TKA後の金属アレルギーは,発生頻度こそまれではあるが,発症した際は術後感染症との鑑別がきわめて困難であることから,念頭におくべき病態である.金属アレルギーの臨床症状は,皮膚症状が原因金属周囲に限局する限局型と,全身に現れる全身型がある.体表面に接触する部分に汗などで金属がイオン化して接触性皮膚炎を生じる限局型に対して,全身型は接触したところだけでなく,乳房の下や,鼡径部周辺の皮膚同士が擦れやすいところに皮疹が生じる.手術部周囲のみにアレルギー様の反応が生じることもあるが,TKA後の金属アレルギーの多くは全身型の症状であり,その診断はきわめて困難である.
TKA後の金属アレルギーへの対策としてチタン製インプラントの使用があげられる.チタン合金はイオン化傾向が低いことから,金属アレルギーを起こしにくい利点がある.しかしながらその一方で,コバルトクロム(CoCr)合金に比し耐摩耗性の観点から,耐久性に関する問題が危惧される.
当科では以前,TKA前に金属アレルギーのスクリーニング検査を行い,陽性反応を示した症例にはチタン製インプラントを,陰性反応を示した症例にはCoCr製インプラントを使用していた.本研究では,チタン製インプラントとCoCr製インプラントの術後10年以上経過した症例を追跡調査し,チタン製インプラントの金属アレルギーに対する有効性と長期耐久性に関する問題について検証したので報告する.
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