Japanese
English
成人股関節疾患の診断と治療 Ⅲ.術後合併症への対応
2.インプラント周囲骨折
大腿骨ステム周囲骨折に対するセメントロングステム再置換術
Revision total hip arthroplasty using cemented long stem for periprosthetic femoral fracture
寒川 翔平
1
,
䯨 賢一
2
,
小林 史朋
2
,
中村 知寿
2
,
齋藤 貴徳
2
S. Sogawa
1
,
K. Oe
2
,
F. Kobayashi
2
,
T. Nakamura
2
,
T. Saito
2
1中村病院整形外科
2関西医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Nakamura Hospital,Hirakata
キーワード:
periprosthetic femoral fracture
,
cemented long stem
,
ADL
Keyword:
periprosthetic femoral fracture
,
cemented long stem
,
ADL
pp.174-177
発行日 2025年10月20日
Published Date 2025/10/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei88_174
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は じ め に
人工股関節全置換術(THA)は増加傾向であるが,高齢者の活動性の高まりとともに,大腿骨ステム周囲骨折の報告は増加している1~5).ステム周囲骨折の外科的治療はステムの弛みを認めない場合には骨接合術を,ステムの弛みを認める場合は再置換術を選択することが多く,さまざまな分類を用いて治療方法が決定される6~8).
ステム周囲骨折に対する骨接合術は通常の骨折治療よりも成績がわるいと報告されているが,その理由は髄腔にインプラントが設置されているため強固な固定が得られにくいことや,誤ってステムの弛みがないと判断し,骨接合術を選択することによって,経過不良となる症例がある9).また,ポリアキシャルプレートやダブルプレートを使用した骨接合術により固定力を高める取り組みもなされているが,術後早期の荷重はむずかしく,受傷前歩行能力の再獲得が困難であると報告されている10).
一方,ステム周囲骨折に対するセメントロングステム再置換術は,強固な初期固定性による除痛効果に優れ,早期荷重を行うことができ,なおかつ生存率も良好であることが報告されている11~16).当科では,機能回復の観点より弛みのあるVancouver分類type B2,B3骨折だけでなく,弛みのないtype B1骨折やtype C骨折の一部に対しても積極的にセメントロングステム再置換術を行ってきた15,16).当科の治療成績について報告する.

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