Japanese
English
鏡視下手術の進歩――小関節から脊椎まで Ⅳ.手部・手関節
手指内軟骨腫に対する鏡視下掻爬術
The endoscopic curettage for enchondroma in the fingers
岡本 秀貴
1
,
関谷 勇人
2
,
小林 正明
3
,
川口 洋平
1
,
相羽 久輝
1
,
村上 英樹
1
H. Okamoto
1
,
I. Sekiya
2
,
M. Kobayashi
3
,
Y. Kawaguchi
1
,
H. Aiba
1
,
H. Murakami
1
1名古屋市立大学大学院整形外科
2JA愛知厚生連海南病院整形外科
3大垣市民病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Nagoya City University Graduate School of Medical Science, Nagoya
キーワード:
enchondroma
,
endoscopic surgery
,
curettage
,
bone tumor
,
hand
Keyword:
enchondroma
,
endoscopic surgery
,
curettage
,
bone tumor
,
hand
pp.155-159
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei77_155
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は じ め に
内軟骨腫には単発性のものと多発性のものとがある.わが国の統計1)では単発性内軟骨腫は骨腫瘍の中で単発性骨軟骨腫に次いで多く,原発性骨腫瘍の14.9%で良性骨腫瘍の20.6%である.単発性内軟骨腫は上肢に発生する骨腫瘍の中で最多であり,指骨や趾骨に多く発生する.指骨に発生するものは56.8%,中手骨は14.5%,趾骨は13.4%,中足骨は1.6%である.
内軟骨腫の治療は骨皮質を大きく開窓しての病巣掻爬が広く行われている.掻爬した後に自家骨移植が行われていたが,最近ではβ型リン酸三カルシウム(β-TCP)などの人工骨を充塡することもある.
しかし,1988年に小児例に対して骨移植なしの開窓病巣掻爬のみを行って良好な成績が報告2)され,1990~1991年にかけて成人例でも同様の報告3~5)がなされている.われわれも,内軟骨腫に対して開窓掻爬術後に自家骨移植を行った症例と掻爬術のみを行った症例を比較・検討して,手指の内軟骨腫に対しては原則として骨移植は不要であると結論した6).骨移植を行わない病巣掻爬であれば関節鏡を応用できると考えて,1992年以降,手指および足趾に発生した内軟骨腫に対して低侵襲の鏡視下掻爬術を行ってきた7~11).
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