Japanese
English
骨・軟部腫瘍のマネジメント(その2) Ⅲ.良性骨腫瘍・腫瘍類似疾患の治療
2)単純性骨嚢腫
単純性骨嚢腫の治療
Treatment of simple bone cyst
須佐 美知郎
1
,
堀内 圭輔
1
,
千葉 一裕
1
M. Susa
1
,
K. Horiuchi
1
,
K. Chiba
1
1防衛医科大学校整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., National Defense Medical College, Tokorozawa
キーワード:
simple bone cyst
,
treatment
,
cannulated bone screw
Keyword:
simple bone cyst
,
treatment
,
cannulated bone screw
pp.50-54
発行日 2021年10月25日
Published Date 2021/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei80_50
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は じ め に
単純性骨嚢腫(孤立性骨嚢腫)は,液体貯留を伴う嚢腫性病変として,1876年にVirchowによってはじめて報告された腫瘍類似疾患である1).好発部位は上腕骨・大腿骨近位骨幹端であり,女性に比較し男性に多く,発症平均年齢は9歳前後と報告されている1~3).2006~2017年の全国骨腫瘍登録では,骨腫瘍類似疾患のなかでもっとも頻度が高い疾患である[10,242例中2,659例(26%)].
本疾患の病因として,外傷による骨髄内出血,炎症,骨髄内の滑膜組織の遺残,嚢腫内圧の亢進,静脈還流障害などがあげられている.また,近年,FUS-NFATC2およびEWSR1-NFATC2キメラ遺伝子が本疾患に関連していることが明らかとなり,本疾患が腫瘍性疾患であるとする意見もあるが4),その病因に関し,いまだ統一した見解にはいたっていない.
単純性骨嚢腫の臨床経過は一般的に良好であるが,疼痛を伴う症例や骨折を繰り返すような症例では,手術が選択されることがある.また,骨端線に近接し,活動性の高い病巣を有する小児発生例では再発率が高く(30~50%),再発を繰り返すことによる骨の変形が危惧される.しかしながら,本疾患に対する治療ガイドラインはいまだ確立されておらず,病巣の大きさや部位に応じて,医師ごとにさまざまな治療法が実施されているのが実情である.
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