Japanese
English
骨・軟部腫瘍のマネジメント(その2) Ⅲ.良性骨腫瘍・腫瘍類似疾患の治療
3)類骨骨腫
類骨骨腫の臨床像(画像所見,発生部位,局在,年齢)の特徴と治療成績
Clinical findings and outcome of osteoid osteoma
渡部 逸央
1
,
穴澤 卯圭
1
,
中山 ロバート
2
,
森井 健司
3
,
森岡 秀夫
4
,
矢部 啓夫
5
I. Watanabe
1
,
U. Anazawa
1
,
R. Nakayama
2
,
T. Morii
3
,
H. Morioka
4
,
H. Yabe
5
1東京歯科大学市川総合病院整形外科
2慶應義塾大学整形外科
3杏林大学整形外科
4東京医療センター整形外科
5増田外科医院
1Dept. of Orthop. Surg., Tokyo Dental College Ichikawa General Hospital, Ichikawa
キーワード:
osteoid osteoma
,
clinical finding
,
clinical outcome
Keyword:
osteoid osteoma
,
clinical finding
,
clinical outcome
pp.55-62
発行日 2021年10月25日
Published Date 2021/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei80_55
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は じ め に
類骨骨腫は,1935年にJaffeによりはじめて報告された有痛性の骨形成性良性腫瘍である.夜間に増強し,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に反応する疼痛が特徴的であり,好発年齢5~25歳,発生部位は下肢長管骨が半数以上を占める一方,手足や脊椎発生にも発生する.画像所見上,病巣は周囲に骨硬化を伴う骨透亮像(nidus)を呈することが特徴で石灰化を伴う場合がある1).
治療については,保存的治療としてNSAIDsの投与により平均1.5年もしくは3年弱で症状が消失するとの報告がある2,3)が,奏効率は100%ではない.さらに,NSAIDsの長期服用に伴う胃腸障害,小児例では保存的治療中の骨変形や過成長,疼痛持続による体重減少,関節近傍発生では関節可動域制限や二次性関節症が生じる危険性があることより,手術的治療が一般的である.手術はnidusの切除のみで十分であるが,取り残しがあると症状が再発するため確実なnidusの切除が必要となる.しかし,一般的な直視下での切除では術中のnidusの同定が困難で,小さな病巣であるnidusの確実な切除のために必要以上の正常骨の切除や軟部組織の侵襲が必要となること,関節近傍発生例では軟骨損傷の可能性が生じることより,近年ではnidusのみの切除や処理が可能なCTガイド下手術が一般化している.
本稿では,類骨骨腫の臨床像(画像所見,発生部位,局在,年齢)の特徴を述べ,その治療成績について検討する.
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