Japanese
English
骨・軟部腫瘍のマネジメント(その2) Ⅵ.転移性骨腫瘍の治療
3)四肢骨転移への手術的治療
上腕骨転移性骨腫瘍に対する再建法による患肢温存手術
Investigation of limb-sparing surgery by reconstruction method for humeral metastatic bone tumor
安田 剛敏
1
,
鈴木 賀代
1
,
渡邉 健太
1
,
金森 昌彦
2
,
天野 学
3
,
川口 善治
1
T. Yasuda
1
,
K. Suzuki
1
,
K. Watanabe
1
,
M. Kanamori
2
,
M. Amano
3
,
Y. Kawaguchi
1
1富山大学整形外科
2富山大学人間科学1
3名古屋大学先端医療開発部
1Dept. of Orthop. Surg., Faculty of Medicine, University of Toyama, Toyama
キーワード:
limb-sparing surgery
,
reconstruction
,
custom made
Keyword:
limb-sparing surgery
,
reconstruction
,
custom made
pp.174-179
発行日 2021年10月25日
Published Date 2021/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei80_174
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は じ め に
わが国の2020年の癌罹患数の予測は約101万2,000例とされ,2017年のデータに基づく予測から癌に罹患する確率は男性65.5%,女性50.2%で,2人に1人は癌に罹患する1).一方,癌治療の開発や進歩に伴い,担癌患者であったとしても,長期の生存が可能となり,担癌患者は増加している1).
転移性骨腫瘍は,全癌患者の13.0~75.2%に生じ2),担がん患者の増加に伴い,1年間に5.3%ずつ増加している1).それに伴い,骨関連事象(skeletal-related events:SRE)もまた増加している.いったんSREが生じると,強い疼痛や機能障害のため,患者の日常生活動作(ADL)は低下し,癌治療における重要な全身症状の医学的指標であるパフォーマンスステータス(performance status:PS)を悪化させ,癌治療の継続が困難となる3).上腕骨は上肢機能に深く関与し,end of lifeまで床上において機能肢として使用することが可能であるため,上肢機能を維持することは生活の質(QOL)の維持に重要である4).
本研究の目的は,上腕骨転移性骨腫瘍に対する患肢温存手術の再建術式別にみた術後患肢機能を比較し,恒久的な機能を獲得するための対策を明らかにすることである.それに加え,現在われわれが新規開発しているカスタムメイド上腕骨人工骨幹を用いた手術成績を提示する.
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