Japanese
English
骨・軟部腫瘍のマネジメント(その2) Ⅵ.転移性骨腫瘍の治療
3)四肢骨転移への手術的治療
大腿骨転移に対する手術的治療
-――術式の選択方法と注意点
Surgical treatment of femoral bone metastasis
田中 厚誌
1
,
岡本 正則
1
,
鬼頭 宗久
1
,
小松 幸子
1
,
青木 薫
1
,
髙橋 淳
1
A. Tanaka
1
,
M. Okamoto
1
,
M. Kito
1
,
Y. Komatsu
1
,
K. Aoki
1
,
J. Takahashi
1
1信州大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Shinshu University School of Medicine, Matsumoto
キーワード:
femoral bone metastasis
,
surgical treatment
,
endoprosthetic replacement
,
internal fixation
Keyword:
femoral bone metastasis
,
surgical treatment
,
endoprosthetic replacement
,
internal fixation
pp.169-173
発行日 2021年10月25日
Published Date 2021/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei80_169
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は じ め に
大腿骨は脊椎,骨盤に次いで骨転移をきたしやすい部位である.大腿骨転移の初期症状は疼痛であるが,進行すると病的骨折を引き起こし,日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)が著しく障害される.このため切迫骨折や病的骨折には手術が選択されることが多い.手術には根治的治療(病巣切除後人工物置換)と姑息的治療(内固定)がある.二つの術式選択に際し,骨破壊の程度,病変部位,がん種,治療感受性,内臓・骨転移の状態,術前全身状態(performance status)などが考慮されるが1~3),全身状態や生命予後を重要視する報告が散見される2,4).新片桐スコアによる術式選択の報告では,1年生存率94%の低リスク群に対しては病巣切除後人工物置換,1年生存率15%の高リスク群に対しては内固定と放射線を推奨している4).しかし,1年生存率59%の中リスク群に対しては症例に応じた選択がすすめられており4),予後が明確ではない症例に対しての治療選択に対しては議論の余地が残されている.
本稿では予後予測と実際の生存期間に注目し,大腿骨転移に対する手術的治療の注意点について考察する.
© Nankodo Co., Ltd., 2020