Japanese
English
骨・軟部腫瘍のマネジメント(その2) Ⅵ.転移性骨腫瘍の治療
3)四肢骨転移への手術的治療
上腕骨近位部転移性骨腫瘍に対するリバース型人工肩関節置換術を行った2例
Bone metastasis of proximal humerus treated by reverse shoulder arthroplasty with polyester mesh:report of two cases
河南 勝久
1
,
梶田 幸宏
1
,
原田 洋平
2
,
高橋 恵美子
3
,
出家 正隆
1
K. Kawanami
1
,
Y. Kajita
1
,
Y. Harada
2
,
E. Takahashi
3
,
M. Deie
1
1愛知医科大学整形外科
2広島大学整形外科
3愛知医科大学病院病理部
1Dept. of Orthop Surg., Aichi Medical University, Nagakute
キーワード:
bone metastasis
,
proximal humerus
,
reverse shoulder arthroplasty
Keyword:
bone metastasis
,
proximal humerus
,
reverse shoulder arthroplasty
pp.180-184
発行日 2021年10月25日
Published Date 2021/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei80_180
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
上腕骨近位部は転移性骨腫瘍をよく認める一般的な部位である1).肩関節はほかの関節と比較して関節可動域が広く,腱板など筋・腱組織が可動域を維持するためには重要となる.術後の機能改善のためには軟部組織が重要であるが,病変切除後の再建としての腫瘍用人工上腕骨頭置換術は,ほかの関節の人工関節と比較して術後機能評価は不良である2~4).
近年,リバース型人工肩関節置換術(reversed shoulder arthroplasty:RSA)を腫瘍切除後再建に応用する取り組みが注目され,海外での報告が散見される5~9).2014年4月から,わが国では条件つきでRSAは使用可能となった.条件とは『リバース型人工肩関節全置換術ガイドライン』10)によると以下のとおりである.一次修復が不能な広範囲腱板断裂で,保存的治療が無効であった偽性麻痺肩で,かつ原則70歳以上が適応となる.また3・4 partの上腕骨近位端骨折,一次性変形性肩関節症,化膿性肩関節炎後,リウマチ肩,上腕骨近位端に発生した悪性腫瘍については相対適応となる.しかし,上腕骨近位部転移性骨腫瘍に対するRSA手術の実績はまだ少ないのが現状である.
われわれは上腕骨近位部転移性骨腫瘍病変切除後の再建方法として,RSAを用いた症例を手術後より半年間追跡しえた2例を報告する.術後半年での肩関節可動域,Musculoskeletal Tumor Society scoring system(MSTS)機能を示した.RSAは良好な肩関節機能が得られており,よい治療選択肢になりうることを文献とともに示す.
© Nankodo Co., Ltd., 2020