骨・軟部腫瘍の診断・治療の盲点

A blind point of diagnosis and treatment in bone and soft tissue tumors

は じ め に

　整形外科医は，日常診療で骨・軟部腫瘍にしばしば遭遇するが，必ずしも適切な診断・治療プロセスを経て診療されているわけではない．骨・軟部腫瘍の多くは良性病変であるため，「結果的に問題なし」となっている症例が多いと考えられる．しかし，運悪く悪性腫瘍であった場合には，診断の大幅な遅れにより病期が進行したり，不適切な治療により，患者の患肢機能の悪化だけでなく生命予後にまで関わる大きな問題が生じてしまうので，骨・軟部腫瘍の診療は，慎重な対応が必要である^1）．

　本稿では，一般臨床医がおちいりやすい骨・軟部腫瘍の診断，治療の盲点について概説する．