Japanese
English
骨粗鬆症と骨粗鬆症関連骨折に対する診断と治療 Ⅶ.リエゾンサービス
十日町病院におけるリエゾンサービス(ウルトラリエゾン)の短期的アウトカム
Decrease of complication rate and length of hospital stay after introduction of fracutre liaison service for patients with hip fracture in Niigata Prefectural Tokamachi Hospital
井渕 慎弥
1
,
今井 教雄
2
,
遠藤 直人
3
S. Ibuchi
1
,
N. Imai
2
,
N. Endo
3
1新潟県立十日町病院整形外科
2新潟大学大学院地域医療長寿学
3新潟大学大学院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Niigata Prefectural Tokamachi Hospital, Tokamachi
キーワード:
hip fracture
,
fracture liaison service
,
multidisciplinary treatment
,
postoperative complication rate
,
length of hospital stay
Keyword:
hip fracture
,
fracture liaison service
,
multidisciplinary treatment
,
postoperative complication rate
,
length of hospital stay
pp.206-210
発行日 2020年10月31日
Published Date 2020/10/31
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei78_206
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は じ め に
わが国では大腿骨近位部骨折患者は依然増加傾向であると報告されている1).Imaiらは新潟県における骨折者の平均年齢が85歳にせまり,それに伴い約80%の患者に一つ以上の内科的併存症を有し2),26%の患者になんらかの周術期合併症を併発すると報告している3).
特に周術期合併症はリハビリテーションの進行遅延をもたらし,活動性の低下をきたし,最終的には寝たきりや早期死亡の原因となりうる3).また,骨折後の二次骨折予防に関しても,約50%の症例で薬物治療が開始されず,また,薬物治療の継続率は20%程度と報告されている4).
このような背景から多職種連携によるリエゾンサービスの必要性が叫ばれている.わが国でも英国の報告5)に倣い,各地で骨粗鬆症リエゾンサービスが開始され始めており6,7),英国の方法に準じたリエゾンサービスを行い,術後合併症を低減させ,骨粗鬆症治療薬導入率が上昇したとの報告もみられる8).
当院でも2018年9月より整形外科医,内科医,歯科医,看護,リハビリテーション,薬剤部が協働する大腿骨近位部骨折患者に対するリエゾンサービスを開始した(図1)[なお,十日町病院の「十」がウルトラマンのポーズに似ていることから,通称「ウルトラリエゾン」と名づけた].本稿の目的は新潟県立十日町病院における骨粗鬆症リエゾンサービスの短期的アウトカムを報告することである.
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