Japanese
English
鏡視下手術の進歩――小関節から脊椎まで Ⅶ.足部・足関節
母趾種子骨障害に対する鏡視下種子骨切除
Arthroscopic sesamoidectomy for hallucal sesamoid disorder
天羽 健太郎
1
K. Amaha
1
1聖路加国際病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., St Luke’s International Hospital, Tokyo
キーワード:
arthroscopic surgery
,
hallucal sesamoid disorder
,
sesamoidectomy
Keyword:
arthroscopic surgery
,
hallucal sesamoid disorder
,
sesamoidectomy
pp.258-261
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei77_258
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は じ め に
母趾種子骨障害は日常診療において比較的よくみられる.診断は種子骨局所に圧痛を認め,本疾患を疑えば比較的容易である.しかし,その病態は複雑で,新鮮骨折,疲労骨折,偽関節などの外傷を起因としたもの,二分種子骨,分裂種子骨,先天性欠如といった形態異常,さらには滑液包炎,種子骨炎,神経障害や非感染性関節炎,脱臼・亜脱臼,無腐性壊死,感染など非常に多彩である.これらの病因が絡み合い起こると考えられる.機能解剖を理解したうえで身体所見をとり,X線をはじめ,CT,MRIの画像所見を参考に診断する.
治療については保存的治療が第一選択となる.保存的治療はギプスなどの外固定,足底挿板(アーチサポートや中足骨パッド),短母趾屈筋のストレッチング,足部アーチ構造保持のための内在筋トレーニングなどがある.保存的治療に抵抗する場合は,画像所見も参考にして手術をすすめる場合もある.手術的治療には部分種子骨摘出術,全種子骨摘出術,自家骨移植術,観血的固定術などがあるが,中でも一般的に行われているのが観血的種子骨摘出術であり,良好な治療成績が報告されている1).一方で,この手術により母趾屈筋腱のレバーアームを減少させて母趾底屈力を減少させること2)や術後に外反母趾(内反母趾)を起こすこと3)が報告されている.そのため,母趾底屈筋のレバーアームを形成するsesamoid mechanismをできるだけ壊さずに種子骨を切除することがのぞまれる.われわれはsesamoid mechanismへの侵襲を考慮し,2018年から種子骨切除を関節鏡視下に行っている.この項ではその手術手技の概要を述べる.
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