Japanese
English
鏡視下手術の進歩――小関節から脊椎まで Ⅴ.股関節
股関節鏡視下手術の進歩
The progression of hip arthroscopy operation
渡邊 宣之
1
N. Watanabe
1
1公立陶生病院整形外科中央リハビリテーション部
1Dept. of Orthopaedic Surgery and Rehabilitation Section, Tosei General Hospital, Seto
キーワード:
hip arthroscopy
,
femoroacetabular impingement
,
traction
,
capsular repair
Keyword:
hip arthroscopy
,
femoroacetabular impingement
,
traction
,
capsular repair
pp.166-171
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei77_166
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は じ め に
関節鏡の黎明期には,膝関節,肩関節などと異なり,特に厚い軟部組織と筋層に覆われた股関節は,関節腔に関節鏡を到達させ組織を観察するのがやっとの状態であった.股関節鏡が治療的手術を行えるまでに発展できたのは,術中イメージの使用,牽引により関節腔にスペースを作り出す牽引手術台の応用,関節包の切開などの手術技術の開発と,関節内に安全に関節鏡を到達させるガイドワイヤの開発,止血が可能なradio frequency system(RF)プローブ,良好な視野をもたらす液圧を保つ潅流ポンプなどの器機開発によるところが大きい.
診断技術の向上により対象疾患の変革がみられたことも見逃せない.当初は遊離体切除や,また病態として末期変形性関節症(OA)にも適応していた股関節鏡視下手術であるが,特に注目されるきっかけとなったのはGanzらが提唱したfemoroacetabular impingement(FAI)の概念とその手術適応に相性がよかったことである.手術機器の工夫と開発,技術の向上により,股関節鏡視下手術はブレイクスルーを果たし,現在はFAI以外の疾患への適応や,3Dイメージングや超音波の導入など,さらなる拡充を予感させる.
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