連載 整形外科医療・機器開発秘話
神経磁界計測装置(脊磁計)の開発
川端 茂徳
1,2
1東京科学大学先端技術医療応用学講座
2東京科学大学整形外科
キーワード:
magnetoneurography
,
magnetospinography
,
nerve function
Keyword:
magnetoneurography,magnetospinography,nerve function
pp.1227-1232
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_1227
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はじめに:神経磁界計測装置とは
本装置は,端的にいえば次世代の筋電計であり,高い空間精度で神経活動を単純X線像やMRIなどの形態画像に重ね合わせて表示ができる.観察している生体活動は従来の筋電計と同じで,神経電気刺激後の脊髄や末梢神経における電気活動の伝搬であるが,筋電計が電位(電圧)を測定するのに対して,本装置は神経活動電流が右ねじの法則に従って作り出す磁場を測定する(図1).磁場は電位と違い,生体の電気抵抗の影響を受けないため,体表からの測定でも深部の神経活動電流を可視化し形態画像に重畳することができる.これまでの研究で,従来の電位測定では評価が困難であった脊髄・馬尾・神経根,腕神経叢,梨状筋部の神経機能評価が可能であること,肘部管や手根管ではより高い感度で詳細な伝導障害部位の同定ができることが明らかになっている(図2).今後,神経疾患診療に大きく貢献することが期待されている.

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