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は じ め に
平成28年度に実施された厚生労働省の国民生活基礎調査によると,有訴者率で男性は腰痛が1位,女性は2位,肩こりでは女性が1位,男性が2位1)を占めており,腰痛や肩こりを自覚する患者は多く,日常生活に支障が生じている.腰痛診療ガイドラインでは,明らかな疾患の存在が否定される場合,これを非特異的腰痛症と定義する.一般的には,椎間板の加齢・変性,体幹筋力の低下,軟部組織の拘縮などさまざまな原因が関与するといわれている.非特異的腰痛症患者は腰痛症全体の約85%であり,日常よく遭遇する腰痛症の一つである2).
腰痛や肩こり,変形性膝関節症の治療薬の第一選択として非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が推奨されているが,痛みが残存しさらに長期に及ぶ投与では胃腸粘膜障害などの副作用が生じる可能性がある.最近では,弱オピオイドを初回から処方することが多いが,嘔気や眠気,ふらつきなどの副作用が生じることで服薬コンプライアンス低下につながることが多く見受けられる.
また,腰痛や肩こりを病気としてとらえ,積極的に外来通院加療している患者は少なく,通院しても改善せずに放置されている例が多く存在する.そこでわれわれは,さまざまな工夫を行い,患者一人一人に合ったオーダーメイド治療を作り上げ,日々の臨床に取り入れている.多くの治療薬が発売されている時代に,薬のみに頼る治療だけではなく,患者が満足する治療を行っていけるかが重要である.
今回,副作用が少ない治療薬である漢方薬,ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン),ロキソプロフェン温シップを用いての腰痛,肩こりに関する治療効果を評価,検討し,臨床成績と治療のなかで工夫していることに関して報告する.また,われわれは変形性膝関節症に関してはエスフルルビプロフェン・ハッカ油配合(ロコア)テープ,トラマドール,ブプレノルフィン(ノルスパン)テープなどをうまく組み合わせて低用量での治療を行っている.臨床成績とあわせて治療のなかで工夫していることに関して報告する.
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