Japanese
English
骨粗鬆症と骨粗鬆症関連骨折に対する診断と治療 Ⅱ.薬物治療
骨粗鬆症の病態が運動器疼痛発生に関与するメカニズム
-――後肢非荷重モデルマウスを用いた検討
Mechanism for induction of skeletal pain associated with osteoporosis in unloaded hind limbs model mice
花香 恵
1
,
射場 浩介
1
,
道家 孝幸
1
,
山下 敏彦
1
M. Hanaka
1
,
K. Iba
1
,
T. Doke
1
,
T. Yamashita
1
1札幌医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., School of Medicine, Sapporo Medical University, Sapporo
キーワード:
osteoporosis
,
pain
,
tail-suspended mice
,
skeletal organ
Keyword:
osteoporosis
,
pain
,
tail-suspended mice
,
skeletal organ
pp.46-51
発行日 2020年10月31日
Published Date 2020/10/31
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei78_46
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は じ め に
骨粗鬆症は代謝疾患であるとともに,脆弱性骨折や骨格変形を呈する運動器疾患である.また,骨粗鬆症に伴う疼痛は日常生活の活動レベルを決定する重要な因子であり,患者の生活の質(QOL)を改善するためには痛みを改善することが必要である1).
骨粗鬆症に伴う疼痛は脆弱性骨折や骨折後の骨格変形が主な原因となる.一方,骨粗鬆症の病態自体が疼痛発症の原因になることや薬物治療による骨代謝改善が疼痛を軽減することが報告されている2,3).これまでに骨粗鬆症の病態自体による疼痛発生機序について研究を行ってきた.卵巣摘除(OVX)マウス(閉経後骨粗鬆症モデル)を用いた解析を行い,骨代謝亢進状態では活性化した破骨細胞や骨芽細胞が産生した酸,炎症性サイトカイン,adenosin tri-phosphate(ATP)などの疼痛関連分子が疼痛行動を誘発すること,骨粗鬆症治療薬による骨代謝改善が疼痛行動を改善することを明らかにした4,5).一方,難治性疼痛を認める運動器疾患では,局所の骨粗鬆症性変化を呈する症例を経験する.本稿では尾部懸垂による後肢非荷重モデルマウスを用いて,四肢の骨粗鬆症変化と疼痛発生機序の関係について概説する.
© Nankodo Co., Ltd., 2020