Japanese
English
スポーツ傷害の予防・診断・治療 Ⅱ.部位別各論
5.膝
Osgood-Schlatter病に対する運動器超音波診療
Diagnosis and treatment for Osgood-Schlatter disease with ultrasound
中瀬 順介
1
,
高田 泰史
1
,
下崎 研吾
1
,
浅井 一希
1
,
土屋 弘行
1
J. Nakase
1
,
Y. Takata
1
,
K. Shimozaki
1
,
K. Asai
1
,
H. Tsuchiya
1
1金沢大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Graduate School of Medical Science, Kanazawa University, Kanazawa
キーワード:
Osgood-Schlatter disease
,
ultrasound classification
,
ultrasound-guided injection
Keyword:
Osgood-Schlatter disease
,
ultrasound classification
,
ultrasound-guided injection
pp.175-178
発行日 2018年4月25日
Published Date 2018/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei73_175
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は じ め に
Osgood-Schlatter病は,当時放射線科医であった米国人のRobert B. Osgood1)とスイス人外科医のCarl B. Schlatter2)がそれぞれ1903年に発表した骨端症である.脛骨粗面部の圧痛,運動時痛などを主訴とし,成長期のスポーツ選手(男性では10~14歳,女性では8~12歳)に多く,約30%は両側性に発症する.Osgood-Schlatter病は発育期における急激な骨成長と筋・腱の成長バランスの不均衡に大腿四頭筋の反復牽引力や脛骨粗面部の力学的脆弱性などが加わり発症するといわれている.現在でも動物モデルは確立されておらず,詳細な病態は不明である3).
従来は身体所見と単純X線像により診断し,治療を行ってきたが,漫然としたスポーツ活動の制限やストレッチ指導など,われわれ整形外科医にできることは限られていた.近年,運動器領域における超音波診断装置の技術向上により,表在組織を鮮明に観察することが可能になり,Osgood-Schlatter病の病態解明,診断や治療法の確立に寄与している.
本稿では,これまでにわれわれが行ってきた臨床研究とこれらをもとに考案したOsgood-Schlatter病の超音波分類と治療法について解説する.
© Nankodo Co., Ltd., 2018