Japanese
English
スポーツ傷害の予防・診断・治療 Ⅱ.部位別各論
5.膝
内側半月板後根断裂の診断と治療
-――診断率と手術手技の向上をめざして
Managements of the medial meniscus posterior root tear
古松 毅之
1
T. Furumatsu
1
1岡山大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Faculty of Medicine, Okayama University, Okayama
キーワード:
medial meniscus
,
posterior root tear
,
posteromedial painful popping
,
MRI
,
pullout repair
Keyword:
medial meniscus
,
posterior root tear
,
posteromedial painful popping
,
MRI
,
pullout repair
pp.154-158
発行日 2018年4月25日
Published Date 2018/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei73_154
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は じ め に
近年,中高年(50~60歳代)が手軽に楽しめるスポーツ活動として,ハイキング・登山の愛好家が増加している.一方で,ハイキング・登山では長時間の歩行や段差を超える動作を伴うことから,中高年期における膝関節の外傷・障害をきたす可能性もある.特に,中高年期の女性に好発するとされる内側半月板(medial meniscus:MM)の後方付着部における断裂(後根断裂)[posterior root tear:PRT]は,半月板の逸脱をはじめとするMM機能不全を引き起こし,膝関節軟骨の接触圧をMM全切除と同等にまで増大させることが知られている1).MMPRTを放置すると膝関節の退行性変化が急激に進行することから2,3),MMPRTを早期に診断する必要がある.しかし,MMPRTは階段昇降・しゃがみこみ・短い距離をジャンプした際の着地など軽微な外力で発生することから,患者・医師ともに病状を軽視してしまう傾向があり,MMPRTの診断・治療の機会を逸しているものと考えられる.またMRIにおける特徴的な所見が報告されているにもかかわらず,MMPRTの存在が見逃されていることも多い4~15).さらに,MMPRTの診断時に膝関節軟骨変性が中等度以下である場合は,早期にMMPRTに対する経脛骨プルアウト修復術などを選択する必要があるが5),技術的に高度であるという先入観からか,一般整形外科医には敬遠され,無為に保存的治療が継続される傾向がある.
本稿では,中高年における膝関節病変として見逃すことのできないMMPRTの診断における注意点と関節鏡視下手術の詳細について概説する.
© Nankodo Co., Ltd., 2018