Japanese
English
論説
内側半月板後角断裂に関節症を合併した症例に対する高位脛骨骨切り術
High tibial osteotomy in osteoarthritic patients with no repair of the medial meniscus posterior root tear
富永 冬樹
1
,
王寺 享弘
1
,
松田 匡弘
1
,
徳永 真巳
1
,
松田 秀策
1
,
井浦 国生
1
F. Tominaga
1
,
T. Ohdera
1
,
M. Matsuda
1
,
M. Tokunaga
1
,
S. Matsuda
1
,
K. Iura
1
1福岡整形外科病院
1Fukuoka Orthopaedic Hospital, Fukuoka
キーワード:
medial meniscus
,
posterior root tear
,
high tibial osteotomy
Keyword:
medial meniscus
,
posterior root tear
,
high tibial osteotomy
pp.401-408
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_401
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は じ め に
膝内側半月板後角断裂(medial meniscus posterior root tear:MMPRT)は断裂に伴う疼痛のみではなく,hoop機能が破綻し膝内側半月板(MM)が内側逸脱することで内側コンパートメント圧の上昇を誘起し,変形性関節症(OA)の急激な進行や特発性骨壊死(ON)の発生に関与するとされている1,2).それらを予防するために最近では鏡視下修復術の報告が多くなされているが,Outerbridge分類grade 3以上の軟骨変性や内反膝がある場合は成績が不良であり3),そのような症例では高位脛骨骨切り術(high tibial osteotomy:HTO)の適応となる.
当院でのMMPRTに対する手術は,2003年1月から鏡視下半月板部分切除術を行っていたが,痛みは軽快するものの術後に水腫や髄内信号変化を認める症例が散見された.そこで井原の報告4)に準じて,2012年6月から新鮮例に対してラスピングを施行したが,成績不良例を認めたため,2013年10月から鏡視下修復術を導入した.導入当初は端々縫合で行い,2014年2月からpull-out法による修復術を施行している.しかし,Kellgren-Lawrence分類(K-L分類)grade 3以上や膝外側角(FTA)が180°以上の内反アライメント,もしくはMRIで髄内信号変化が広範囲である症例は修復術よりもHTOを第一選択としている.本研究では,MMPRTに対して修復を行わずにHTOを施行した症例について検討し,臨床成績および問題点を報告する.
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