肩関節・肩甲帯部疾患 病態・診断・治療の現状 治療 保存的治療と手術的治療の現状
骨折と脱臼 肩関節脱臼 外傷性肩関節前方不安定症に対する鏡視下Bankart修復術の治療経験 thermal capsulorrhaphy併用とrotator interval closure併用の比較
坂倉 健吾
1
,
佐々木 茂
,
小谷 明弘
,
里見 和彦
1杏林大学 整形外科
キーワード:
肩関節
,
肩関節脱臼
,
関節鏡法
,
スーチャーアンカー
,
Bankart法
,
不安定肩
Keyword:
Arthroscopy
,
Shoulder Dislocation
,
Shoulder Joint
,
Suture Anchors
pp.158-161
発行日 2010年10月25日
Published Date 2010/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2011097709
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外傷性肩関節前方不安定症に対して鏡視下Bankart修復術を行えば、本症のprimary lesionである前下関節上腕靱帯関節包複合体の修復が可能であるが、本症には関節弛緩性や骨性病変など様々な病変が混在しているため、症例に応じた追加処置が行われている。当科では追加処置としてthermal capsulorrhaphy(TC)もしくはrotator interval closure(RIC)の併用を行っている。今回、TCを併用した群(13例)とRICを併用した群(20例)の治療成績を比較検討した。評価項目は「JSSスコア(日本肩関節学会肩関節不安定症評価法)」「術後の外旋制限角度」「再脱臼の有無」とした。JSSスコアはTC併用群が術前平均57.2点から術後93.9点に改善、RIC併用群が術前平均62.0点から術後94.8点に改善し、両群間に有意差は認めなかった。術後の外旋制限角度(患健側差)はTC併用群が下垂位で平均14.0°、90°外転位で平均5.5°、RIC併用群が下垂位で平均15.5°、90°外転位で平均8.4°であり、有意な群間差は認めなかった。再脱臼はTC併用群で1例(8%)、RIC併用群で1例(5%)に認め、いずれもコンタクトスポーツ中の再脱臼であった。
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