発行日 2001年10月20日
Published Date 2001/10/20
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2002108939
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大腿骨頸部骨折63例(男7例,女56例,平均89.3歳).ブピバカイン2ml前後投与の従来法が28例(A群),平均1.2ml投与の少量投与法が35例(B群)であった.手術時間はA群が平均63.9分,B群が41.6分と有意差があったが,出血量,麻酔レベルには差がなかった.脊椎麻酔後に有意な血圧低下を認めたのはA群10例,B群6例で,有意差はなかったがB群が少ない傾向であった.最低収縮期血圧を示したのはA群では麻酔開始後平均22.7分,B群では24.5分で,A群3例,B群4例が手術開始後であった.術中に疼痛を訴え,局所麻酔を追加したのはA群4例,B群6例であった.麻酔覚醒時間はA群292.8分,B群193.7分で,B群が有意に覚醒が早かった.術後合併症は,A群では心不全1例,心筋梗塞1例,消化管出血1例,術後経口摂取不良による死亡1例で,脊椎麻酔が直接の誘因と考えられたのは心筋梗塞例であった.B群は肺炎と気管支喘息の2例のみで,麻酔との直接の因果関係はなかった
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