発行日 2017年3月20日
Published Date 2017/3/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2017170432
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本研究の目的は、がん患者と看護師とのかかわりにおけるナーシング・プレゼンスの様相を明らかにすることである。看護師と、その受け持ちのがん患者を1組とし、2006年7月から同年11月にかけて同意が得られた8組に対して調査を実施した。参加観察を中心にデータ収集を行い、それらを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの方法論を参考に質的帰納的に分析を行った。その結果、《苦痛や不快感を取り除こうとする》《生活にリズムをつけ、セルフケアを高める》をはじめとする9つのカテゴリーが導かれたが、《がんであることを暗黙の前提としてかかわる》《家族の存在を大切にする》は本研究で新たに見出されたナーシング・プレゼンスの様相であり、がん看護の特性を反映したカテゴリーであった。がん患者と看護師との間に信頼関係が構築されると、患者は看護師とのかかわりの中で希望を見出し、生き抜く力を得ていた。本研究で見出されたナーシング・プレゼンスの中核は、がん患者の『生き抜く力を支える』ことであった。これらの知見は、がん看護領域における実践的知識基盤の拡大につながる可能性があることが示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2017